東北地方に伝わる鬼女伝説に想を得た近代歌舞伎舞踊劇の金字塔を、新たな視線で描き出すスペクタクル舞踊劇

監修・補綴|木ノ下裕一
演出・美術|杉原邦生
出演|大柿友哉 北尾 亘 武谷公雄 夏目慎也 福原 冠

木ノ下歌舞伎の『黒塚』は、主人公の老婆を単に伝説の中の鬼女ではなく、一人の人間として描き直し、その対比として僧侶を描くことで、現代を生きる私たちが抱える問題を投影するドラマとして描き直した。
現行歌舞伎を現代劇の俳優が完全にコピーするところから造り上げた、現代語と歌舞伎言葉を行き来する台詞と、舞踊劇ならではの美しい型がふんだんに取り入 れられた舞踊シーン、そして、小さなあばら家から月が浮かぶすすき野原まで変幻自在の空間が、ただの伝承ではなく、現代に生きづく大きな物語へ誘う。

〈歌舞伎〉に現代の視点で切り込む木ノ下歌舞伎、初のヨーロッパ公演!

CoRich舞台芸術まつり!2013春」にて「黒塚」はグランプリを受賞, 老婆・岩手役の 武谷公雄が俳優賞を受賞

監修・補綴:木ノ下裕一 (木ノ下歌舞伎・主宰)

1985年和歌山市生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受け、古典芸能への関心を広げていく。京都造形芸術大学(映像・舞台芸術学科)で現代の舞台芸術を学び、2006年に古典演目の現代的上演を行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。作品の補綴・監修という立場をとりつつ、様々な演出家とタッグを組みながら創作するスタイルをとっている。近作に、『義経千本桜』(2012年 総合演出:多田淳之介、演出:白神ももこ・杉原邦生)、『三人吉三』(2014 年,2015年 演出:杉原邦生)などがある。
その他古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。現在は武智歌舞伎についての博士論文を執筆中。

演出・美術:杉原邦生 (木ノ下歌舞伎・企画員|KUNIO主宰)

演出家、舞台美術家。1982年東京都生まれ。神奈川県茅ケ崎育ち。京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科第2期卒業生。同学科在籍中より、演出・舞台美術を中心に活動。特定の団体に縛られず、さまざま なユニット,プロジェクトでの演出活動を行っている。人を喰ったような生意気さとポップなバランス感覚を兼ね備えた演出が特長。2003年6月teuto vol.2『アドア』で初演出。2004年、自身が様々な作品を演出する場として、プロデュース公演カンパニー“KUNIO”を立ち上げる。これまでに 04年6月KUNIO01『ペリカン家の人々』(作:ラディゲ)、06年12月KUNIO02『ニッポン・ウォーズ』(作:川村毅)などを上演。2010 年9月には、初めて自身が構成から手掛けた新作公演KUNIO07『文化祭』が好評を得た。
2008年、伊丹市立演劇ホールAI・HALLとの共同製作事業“Take a chance project”アーティストに選出され、同年2月KUNIO03『椅子』(作:ウージェーヌ・イヨネスコ)、2009年1月KUNIO05『迷路』 (作:フェルナンド・アラバール)、2011年1月M☆3『こいのいたみ~come on! ITAMI~』を上演した。
木ノ下歌舞伎には、2006年5月『yotsuya-kaidan』(作:鶴屋南北)の演出をきっかけに企画にも参加。これまでに5作品を演出。
2009年9月KUNIO06『エンジェルス・イン・アメリカ-第1部 至福千年紀が近づく』で京都芸術センター「舞台芸術賞2009」佳作受賞。
また、こまばアゴラ劇場が主催する舞台芸術フェスティバル<サミット>ディレクターに<冬のサミット2008>より2年間就任、2010年からはKYOTO EXPERIMENTフリンジのコンセプトを3年間務めるなど、持ち前の「お祭好き」精神で活動の幅を広げている。