作・演出:タニノクロウ

小劇場から野外まで多彩な上演場所で、人間の心象や妄想を具現化したような美術で空間を構築し、人間の深層に迫るタニノクロウ。今回が初のフランス上陸となる。

本作は、山奥の湯治場に招かれた人形遣いの父子、客らを巡る一夜の出来事を描き、リアリズムの中に繊細な心理表現が描かれた作品となった。自身の故郷・富山、失われつつあるものへの強い想いも込められた作品である。第60回岸田國士戯曲賞受賞。

「二年前に祖父を亡くし、しばらくしてあとを追うように祖母が寝たきりの状態になりました。私の両親は精神科医でしたので、幼少期の頃は祖父母に面倒を見てもらっていました。同時期に故郷に新幹線が開通しました。緑豊かな風景を切り裂くように。私は失われていく命の姿を描こうと思いました。その最後の僅かな時間に、美を込めて、舞台化したのです。」

【タニノクロウ プロフィール:】

1976年生まれ。富山県出身。庭劇団ペニノの主宰、座付き劇作・演出家。2000年、医学部在学中に庭劇団ペニノを旗揚げ。以降全作品の脚本・演出を手掛ける。2009年、『苛々する大人の絵本』がベルリンのHAUで 行われた「Tokyo-Shibuya」に招聘されたのを皮切りに、国内外の演劇祭に参加。2015年3月、ドイツ・クレーフェルトの公立劇場 Theater Krefeldで滞在制作した新作『水の檻(Käfig aus Wasser)』を発表。近年の作品に『チェーホフ?!』(2011)、『誰も知らない貴方の部屋』(2012)、『大きなトランクの中の箱』(2013)、『タニノとドワーフ達によるカントールに捧げるオマージュ』(2015)、『ダークマスター』(2003、06、16)など。2015年に 初演した『地獄谷温泉無明ノ宿』で第60回岸田國士戯曲賞受賞。

庭劇団ペニノ http://niwagekidan.org

【出演】
マメ山田
辻 孝彦(劇団唐組)
飯田一期
日高ボブ美(ロ字ック)
久保亜津子
石川佳代
森 準人 

【スタッフ】
構成:玉置潤一郎、山口有紀子、吉野万里雄
舞台美術:タニノクロウ 稲田美智子
舞台監督:久保勲生
演出部:加藤保浩
演出助手 :松本ゆい
照明:阿部将之
照明助手:阿久津未歩
音響:佐藤こうじ、中村嘉宏
胡弓指導:川瀬露秋
カンパニーマネージャー:小野塚央
ツアーマネージャー:門田美和