その生涯の大半を日本で過ごした数少ない西洋人の一人、ポール・ジャクレー。独特の色使いと、さまざまなテーマで彼は浮世絵の新たな魅力を引き出しました。

芸術家であり旅人でもあったジャクレー。彼の旅は日本だけにとどまらず、韓国・中国・モンゴル・ミクロネシアに広がり、その土地の人物や日常風景を描き残していきました。今回の展覧会では1934年~1960年(昭和9年~昭和35年)に彼が作成した木版画約100点をご紹介します。

彼が描き続けた、今日では既に過去のものとなってしまった世界の文化を皆様に届けます。

1896年、パリに生まれたポール・ジャクレ―は、1899年(明治32年)3歳の時にフランス語の講師だった父に伴い日本に移住しました。その後、彼が亡くなる1960年(昭和35年)まで、生涯を日本で過ごしました。

浮世絵との出会いは青年期になります。浮世絵師につき、その技術を学んでいきました。

ジャクレーは当時日本の植民地だった太平洋の島々、北朝鮮・韓国、満州等にたびたび出かけて行きます。その土地土地の風景を初期の頃はアクリル画、そして1934年(昭和9年)からは多色木版画を制作します。彼の作品は発表されるやいなや多くの注目を集め、東京・大阪・神戸、そしてソウルでも展覧会という形で人々の知るところとなります。その後、日本が太平洋戦争に突入したため、ジャクレーは一旦は制作活動を中止します。1946年(昭和21年)終わりごろから、当時アメリカの占領軍に支援され、浮世絵を再び描き始めます。そして再び日本と北朝鮮・韓国、そしてアメリカやオーストラリアでも高い評価を得ます。

彼の描く対象はアジア諸国と太平洋の島々に住む男女、そしてその土着文化でした。彼の作品からは、画筆の繊細さ、民族学的な視点、そして技術力の高さが見て取れるでしょう。色彩豊かな絵画世界、そしてそこにいる人々の美しい笑顔。それらの背後には命の儚さが垣間見えます。

ポール・ジャクレ―はフランスでは長らく知られていませんでしたが、、2011年に初めてフランス国立図書館で展覧会が開かれました。2013年にはケー・ブランリー美術館で大回顧展が行われています。今回、パリ日本文化会館では、アジアと欧州両方の視点を持ちながら、世界に目を向けた唯一無二の芸術家ポール・ジャクレ―の世界をご紹介いたします。

今回の展示作品は長年アジア諸国を歴任した元外交官ジャック・デュマジーからお借りしたものです。

ガイド付ツアー 【無料・事前予約必要なし】
使用言語:フランス語
♦ 火曜> 9月13、20、27、10月4日、11日  : 17時
♦ 木曜> 9月15、22、29、10月6日、13日 : 17時

こども向け鑑賞ツアー(8歳以上対象)【無料・事前予約要】
9月28日(水)及び10月5日(水)、12日(水)15時~15時45分 
使用言語:フランス語
ポール・ジャクレ―の紹介や作品の見どころについての説明を受けながら、展覧会ガイドを片手に楽しく鑑賞しましょう!最後にジャクレ―作品の中からお気に入り作品の絵も描いてみましょう!
事前予約制:k.masnéri@mcjp.fr