現代作家の和紙彫塑による日本の古典文学の立体的再構成という視点の斬新さと、集合体としての作品のもつ劇場性とそれを効果的に見せる空間構成、和紙そのものの持つ美しさと表現の可能性の豊かさ、そして何よりも「平家物語」という文学が有する思想的な深みと歴史としての内容の豊かさが、きわめて広い層の関心を集め、これまでで98年秋の「縄文展」に次ぐ来場者数を記録した。主要テレビやラジオもインタビューを組むなど、メディアがこぞって取り上げたことも効を奏した。加えて平曲(今井倹校勉)と筑前琵琶(田中旭泉)による琵琶のコンサートや松岡正剛氏ほかによる、平家物語に関するシンポジウムにより平家物語の魅力を多角的かつ学術的に紹介し、当地において関心の高い古典文学を総合的に紹介する良い機会となった。