「三番叟」(さんばそう)
祝典曲「翁」(おきな)のなかで狂言方が担当する演技で、若者の勇壮な舞である「揉の段」と、老体での厳かな舞「鈴の段」の二つからなる。

共に天下泰平・五穀豊穣を寿ぎ、特に「揉の段」は、華やかに弾んだ囃子に始まり、「おおさえ、おおさえ、おお。喜びありや」と謡い出し、律動的な笛・小鼓・大鼓の演奏で、足拍子を踏みながら、明るく力強く舞うものである。又「鈴の段」は黒式尉の面をつけ、鈴を振りながら寿福を祈り舞う。

三番叟 野村 万蔵
千歳  野村万之丞
地謡  小笠原 匡、小笠原弘晃、河野 佑紀
後見  山下浩一郎
笛   竹市  学
小鼓  林  大和
大鼓  森山 泰幸

「金岡 大納言」(かなおか だいなごん)
絵師の金岡が狂気して洛外をさまよっているので、心配した妻が理由を問うと、参内した御所で会った美しい女中に恋をしたと言う。妻は怒って、自分も化粧をすれば女中に負けないと云い、金岡に得意の絵筆で化粧をするよう頼む。金岡は言われるままに妻の顔に彩色を始めるが・・・。

難易度の高い「小歌」を歌いながら登場し、狂乱状態の「カケリ」舞の後に、「恋の語」を語り後には舞台上で実際に紅白粉を絵筆にて描く、和泉流にのみ伝わる秘曲。

巨勢金岡 野村  萬
妻    能村 晶人
地謡   小笠原 匡、山下浩一郎、河野 佑紀
後見   野村 万蔵
笛    竹市  学
小鼓   林  大和
大鼓   森山 泰幸

「二人袴」(ふたりばかま)
舅が登場し,今日は最上吉日なので聟が結婚後初めて挨拶に来るはずと、太郎冠者を呼び出して準備をする。さて聟は一人では恥ずかしいので,父に門前まで付き添ってもらう。しかし、父は太郎冠者に見つけられ,座敷に出なければならなくなる。袴は一つしかないので,二人は交互に袴をはきかえ様々な言い訳をして舅の前に出るが,両人一緒にと呼ばれてしまう。困った父は袴を二つに裂き,それぞれ前に当て座敷に出るが・・・。

めでたい聟入りの席での,舅に対する親子のかけひきが笑いを誘う。

聟  小笠原弘晃
親  小笠原 匡
舅  能村 晶人
太郎冠者 野村万之丞
後見 河野 佑紀