数百年の歴史と固有の様式を持つ伝統演劇と、今日生まれた新作劇が、ともに生き生きとした「いまの演劇」として上演されているのが、日本演劇の特徴だ。14~15世紀に花開いた「能楽」や17世紀に始まった「歌舞伎」など「伝統演劇」と、西洋の影響を受けて20世紀初頭に生まれ、変化を続ける多彩な「現代演劇」の層が折り重なっている。朝日新聞記者で、長年演劇の取材や劇評の執筆を続けてきた山口宏子氏が、こうした、まるでミルフィーユのような日本演劇の魅力と、21世紀の私たちと世界を映し出す、新しい作家・作品の広がりを紹介する。
 

プロフィール
山口宏子(Yamaguchi Hiroko)
1960年生まれ。朝日新聞(The Asahi Shimbun)で約30年間、演劇の記事、批評などを執筆。論説委員(Editorial Writer)として文化全般やメディア問題などの社説も担当した。共著書に『蜷川幸雄の仕事』。国際演劇評論家協会(/Association internationale des critiques de théâtre)会員。