ポール・ポワレ高校と足利サムライ・ファイバーのコラボレーションから見る日仏文化交流160年。

 

足利の繊維産業の歴史は、千年を有する。江戸時代以降は、支配階級の御用達だった足利の織物が庶民にまで広がっていった。明治・大正・昭和初期に一斉を風靡した足利銘仙は、リヨンで製造された機械を導入することによって近代産業化に成功したものである。また、戦後足利で発展したトーション・レースやトリコットについても、フランス製の織機の影響は大きい。

一方フランスでは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、つまり足利銘仙の黄金期と時を同じくして、女性の体を締め付けたコルセットを排除したデザインで一世を風靡したデザイナー、ポール・ポワレは、日本のキモノなど東洋の服装からインスピレーションを得ていた。

このアール・デコの旗手の名を冠し、舞台関係の衣装や美術の専門家を育成するポール・ポワレ校と、 足利の繊維業者で組織する「足利サムライ・ファイバー」は、2016年来コラボレーションを進めてきた。

この展示会では、この3年間の成果を発表するとともに、足利の繊維業者とポール・ポワレ校双方が、どのような歴史的背景を持って出会ったのかを明らかにし、日仏の文化的また経済的流れの中で、双方の今後をも展望するものである。