パリ日本文化会館は、大津市歴史博物館と共催で日本の代表的な庶民絵画である大津絵についてのヨーロッパに於ける初の大規模な展覧会を開催いたします。

大津絵は、江戸初期から明治時代にかけて、東海道を往来する旅人の土産物として人気を集めました。初期は庶民の日常的な需要に応えた仏画が中心でしたが、次第に人間のおごりや愚かさへの風刺などを盛り込んだ戯画や教訓絵へと変容していきました。さらに時代が進むと、約120あった画題が、縁結びの御利益があるとされる「藤娘」など10種類に絞られ、「大津絵十種」が庶民のお守りや験を担ぐキャラクターとして親しまれるようになりました。

その味のあるキャラクターぶりに、浮世絵師たちも魅了され、江戸末期には、歌川国芳や河鍋暁斎などが浮世絵に大津絵の画題を取り入れたり、見立てたりして、そのユーモラスな精神を継承しています。しかし、大津絵は、世界的に市民権を得ている浮世絵に比べると海外ではほとんど知られていません。

今回の展覧会は江戸時代の古大津絵の名品を初めとして、大津絵の影響を受けた浮世絵や肉筆画、木彫、挿絵本などを展示し、その魅力を紹介します。さらに、ピカソ旧蔵品や、ミロが1950年にバルセロナの民芸展で注目した大津絵などを展示するコーナも設けます。

大津市歴史博物館の所蔵品の他に、民芸運動の提唱者・柳宗悦が蒐集した東京の日本民藝館の大津絵コレクションや、笠間日動美術館、根津美術館、パリのギメ美術館に加え、フランス国立図書館、個人コレクションから貴重な作品を借りて、初公開の作品も多々展示されます。日本美術の重要で未知の側面をヨーロッパにおいて紹介する貴重な契機となるでしょう。

監修:クリストフ・マルケ(フランス国立極東学院学長)、横谷賢一郎(大津市歴史博物館学芸員)

監修者によるガイドツアー:5/2(木)、5/16(木)、5/23(木) 18時30分~。仏語。
参加無料(要展覧会鑑賞券)。要予約。

公認ガイドによる解説ツアー:6/13(木)14時30分〜。仏語。参加無料(要展覧会鑑賞券)。予約不要。