とらやに下宿中のワット君こと良介(中村雅俊)が、初対面の寅さんを“押し売り”と間違えたことから大騒動となる。結局、寅さんと意気投合した良介は、食堂「ふるさと亭」の幸子(大竹しのぶ)との恋愛を、寅さんの指南で成就させようとするが、振られたと勘違い。良介はガス自殺を計ろうとして、とらやの二階は大爆発! 責任を感じ、長崎県平戸に帰った良介を、励まそうと寅さんがやってくるが、良介の姉・藤子(藤村志保)に一目惚れをして、そのまま居着いてしまう…
テレビドラマで人気絶頂の中村雅俊と、若手実力派ナンバーワンの大竹しのぶをゲストに迎えた、シリーズ二十本記念作品。寅さんが“恋の指南”を買って出るパターンは、第14作『寅次郎子守唄』以来だが、本作を機に、寅さんの「恋のコーチ役」は定着していく。寅さんが、良介の美しき姉・藤子にぞっこん惚れてしまう後半、藤子と二人きりになってしまう状況を“寅さんのアリア”で語るシーンは、シリーズの白眉。平戸の船長を演じたベテラン・コメディアン、石井均の「惚れとるばい」の名台詞とともに、華やかな笑いに包まれた一編。