ニースアジア美術館開館25周年を記念して出版された『Kenzô Tange & le musée départemental des arts asiatiques(丹下健三とニース東洋美術館)』は、日本人建築家の丹下健三とコート・ダジュール地方の特別な出会いがテーマとなっている。1987年にプリツカー賞を受賞し、20世紀の建築をリードした丹下健三(1913-2005)は、ニースアジア美術館を「豊かな自然の中央に位置する、静かな湖に浮く白鳥」をイメージして建設したという。大地の象徴である「四角」と空の象徴である 「円」、アジアにおいて根幹となるこの二つの幾何学形状を美術館の主要な構成要素とすることで、丹下健三はアジア美術や文化を称える建築物を構築する意図を表明している。1998年10月にニースに開館したこのアジア美術館は、今ではアルプ=マリティーム県の芸術シーンにおいて欠かせない存在となっており、まさにアジアと南仏の架け橋となっている。
登壇者:ニースアジア美術館館長 アドリアン・ ボサール