「トランスフィア」は、日本現代アートの第一線で活躍するアーティストから、新進気鋭の若手クリエーターまで、未来への鍵を示唆する創造者たちとともに拓く企画展シリーズです。「トランス(超える)」と「スフィア(領域)」をかけあわせた名称にジャンルや国境を越えたいという願いを託し、年に3回展覧会を開催、3年間継続します。様々な表現の展観を通じて、今日の日本が誇る最先端のクリエーションの旅へと誘います。

シリーズの構想:岡部あおみ(パリ日本文化会館アーティスティック・ディレクター〈展示部門〉)

新シリーズとなる「トランスフィア」では、パリ日本文化会館はその日本文化の発信拠点としての機能をさらに進化させ、現代のクリエーションを生み出す基地となります。各展示で共通するのは、未公開作品の制作が予定されていることです。また、既存作品も同時に紹介しながら、各アーティスト・クリエーターが繰り広げる世界と、展示ごとにラディカルに異なる景色をご覧いただけます。シリーズ第1弾は、日本が誇る希代のメディアアーティスト真鍋大度と石橋素を迎えます。6月上旬には日本の建築ユニット、アトリエ・ワンと、フランスを拠点に活動する建築家ディディエ・フォスティノによる「マジカル・ハウス」をMCJPに建設予定。9月には、内藤礼が初めて故郷のヒロシマに取り組んだ祈りのための空間をパリで発表します。(※内藤礼の展示は2017年1月に延期されました。)

極めて高い創意のあるプログラミングを行う真鍋大度と、卓越したデバイス技術をもつ石橋素。この2人によって、芸術と科学技術は融合され最先端の風景が描き出されます。彼らはウェブやインタラクティヴデザインなどの領域で、研究開発と斬新な実験を重ねるRhizomatiks Research(ライゾマティクス リサーチ)のディレクターです。パリで発表される新作は、クリエーションの過程の予見不可能な進化を楽しむ二人のコンセプター(提案者)が展示室の大部分を使い、アートとテクノロジー、現実と仮想の境が混じりあうインスタレーションを発表予定。また、真鍋と石橋によるこれまでのプロジェクトの記録映像を上映:MIKIKO演出兼振付による同氏主宰のELEVENPLAYの公演、聴覚障害のダンサーと恊働した電気刺激デバイスによる「Music for the Deaf」プロジェクトなども発見/再発見できます。新たな知覚体験は、興奮や驚きだけでなく、深い考察へと私たちを誘うでしょう。

rhizomatiks.com / rzm-research.com / daito.ws / motoi.ws

キュレーター : 岡部あおみ(パリ日本文化会館アーティスティック・ディレクター〈展示部門〉)

 

【真鍋大度+石橋素インタビュー(日本語)】
パリ日本文化会館で絶賛発売中の「トランスフィア#1 創意のランドスケープ」展カタログにフランス語・英語で掲載されている文章より抜粋し、日本語で公開しています。
http://www.wochikochi.jp/topstory/2016/06/daito-motoi.php