本展は混雑回避のため、完全予約制となっております。

以下リンクよりチケットを購入をされた上で、ご来館くださいますよう、お願いいたします。尚、チケットは券面に記載されている入場時間から30分以内のみ有効です。遅れた場合は、ご入場をお断りする場合がありますので、ご了承下さい。

高畑勲（1935-2018）は紛れもなくアニメーション界の巨匠の一人であり、宮﨑駿、鈴木敏夫とともにスタジオジブリを設立しました。高畑は1960年代から、高度かつ詩的で、奥深く革新的な作品を生み出しました。人間への深い造詣を持ち、独自の物語の世界観、新しい表現手法への試みを続けた高畑は、従来のアニメーションの概念を大きく変貌させ、既存の枠から解き放ち、世界に認められる芸術に昇華しました。

本展は、4章で構成され、制作ノート、絵コンテ、原画、セル画、映像などの資料を通して、高畑勲の50年にわたる活動の軌跡と、アニメ史に残る重要な高畑の作品における中心的なテーマを辿っていきます。

第1章　出発点—アニメーション映画への情熱

高畑勲は1959年に東映動画（現・東映アニメーション）に入社し、アニメーションの演出家を目指します。劇場用長編初演出（監督）となった「太陽の王子　ホルスの大冒険」（1968）においては、同僚とともに試みた集団制作の方法と、複雑な作品世界を構築していくプロセスに光を当て、なぜこの作品が日本のアニメーション史において画期的であったかを明らかにします。

第2章　日常生活のよろこび─　アニメーションの新たな表現領域を開拓

東映動画を去った高畑は、「アルプスの少女ハイジ」（1974）にはじまり、「母をたずねて三千里」（1976）、「赤毛のアン」（1979）という一連のテレビの名作シリーズで新境地を切り拓きます。毎週一話を完成させなければならない時間的な制約にもかかわらず表現上の工夫を凝らし、衣食住や自然との関わりといった日常生活を丹念に描写することで、一年間52話で達成できる生き生きとした人間ドラマを創造したのです。宮﨑駿、小田部羊一、近藤喜文、井岡雅宏、椋尾篁らとのチームワークを絵コンテ、レイアウト、背景画などによって検証し、高畑演出の秘密に迫ります。

第3章　日本文化への眼差し─過去と現在との対話

映画「じゃりン子チエ」（1981）、「セロ弾きのゴーシュ」（1982）以降は日本を舞台にした作品に特化、日本の風土や庶民の生活のリアリティーを活写します。その取り組みは、1985年に設立に参画したスタジオジブリにおいて、「火垂るの墓」（1988）、「おもひでぽろぽろ」（1991）、「平成狸合戦ぽんぽこ」（1994）という日本の現代史に注目した作品群に結実します。

第4章　スケッチの躍動─新たなアニメーションへの挑戦

高畑はアニメーションの表現形式へのあくなき探求者でもありました。90年代には絵巻物研究に没頭して日本の視覚文化の伝統を掘り起こし、人物と背景が一体化したアニメーションの新しい表現スタイルを模索し続けました。その成果は「ホーホケキョ となりの山田くん」（1999）と「かぐや姫の物語」（2013）に結実します。デジタル技術を利用して手描きの線を生かした水彩画風の描法に挑み、従来のセル様式とは一線を画した表現を達成しました。

キュレーター：田中千義（スタジオジブリ）

監修：イラン・グエン（MEMA）

　高畑勲　

©Kishin Shinoyama

1935年三重県生まれ。岡山県で育つ。1959年東京大学仏文科を卒業。同年東映動画(現・東映アニメーション)に入社。1968年、劇場用長編初演出(監督)となる「太陽の王子 ホルスの大冒険」を完成。1974年テレビシリーズは児童文学原作の「アルプスの少女ハイジ」全話を演出。1976年にはテレビ「母をたずねて三千里」、1979年にはテレビ「赤毛のアン」（こちらも児童文学原作）の全話演出を手がけた。その後1981年公開の映画「じゃりン子チエ」、1982年公開の映画「セロ弾きのゴーシュ」を監督。1984年公開の宮﨑駿の「風の谷のナウシカ」では初のプロデューサーを務めた。

1985年宮﨑駿、鈴木敏夫とともにスタジオジブリ設立に参画。自らの脚本・監督作品として以下の映画──「火垂るの墓」(1988)、「おもひでぽろぽろ」(1991)、「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994)、「ホーホケキョ となりの山田くん」(1999)、「かぐや姫の物語」(2013)を制作。遺作となった「かぐや姫の物語」は、アカデミー賞長編アニメーション映画部門にノミネートされ、カンヌ映画祭の監督週間で上映された。

『映画を作りながら考えたこと』(1984)、『十二世紀のアニメーション』(1999)、『アニメーション、折にふれて』(2013)など多数の著作がある。

フランスとの親交が深かった高畑勲は、作品のプロモーション（アヌシー国際アニメーション映画祭、パリのフォーラム・デ・イマージュで開催された「Nouvelles images du Japon」フェスティバルなど）や展覧会（フォントヴローで開催された「Mondes et Merveilles du dessin animé: Grimault, Takahata, Miyazaki（アニメーション-その世界と不思議：グリモー、高畑、宮﨑）」、バイユーで開催された「Emakimono & Tapisserie de Bayeux: dessins animés du Moyen-Âge（中世のマンガ：絵巻物とバイユー・タペストリー）」など）のために何度もフランスを訪れている。2014年、アヌシー映画祭で長年の功績を称えられ、名誉クリスタル賞を受賞した。約60年に渡りアニメ界へ貢献した同氏は2018年4月5日死去。享年82。

　関連イベント　

※各イベントの詳細ページは後日公開予定です。

■　オープニング記念講演会

登壇者：田中千義（ジブリ）、イラン・グエン（MEMA）

2025年10月14日（火）18時～（無料・予約制）

■　映画上映

高畑勲監督特集

2025年10月21日（火）～2025年10月31日（金）

2026年2月2日（火）～2025年2月7日（土）

■　講演会＆上映会

高畑勲－スタジオジブリのもう一人の巨匠

登壇者：カトリーヌ・カドゥ（通訳者、翻訳家、映画監督）

2025年11月22日（金）15時～（無料・予約制）

『平成狸合戦ぽんぽこ』上映会

17時～（3ユーロ・予約制）

■　講演会

高畑勲と考える、自然と人間

登壇者：村松研二郎（ジャン・ムーラン・リヨン第3大学准教授）、アントナン・ベシュレール（日仏会館・フランス国立日本研究所研究員、ストラスブール大学日本研究学科准教授）

2025年12月6日（土）　14時30分～16時（無料・予約制）

  団体予約  

メールによる団体予約は受け付けておりません。オンラインにてチケットをご購入ください（1回の注文で最大15名まで）。

ガイド付きツアー（最大15名、土曜を除く）をご希望の場合は、info@echappee-belle.comまでご連絡ください（フランス語対応のみ）。

学校の団体予約は resagroupe@mcjp.frまでお願いします。

  お知らせとお願い    

L38 x H72 x P34 cmを超えるサイズの荷物は、会館内（https://www.mcjp.fr/fr/informations-pratiques/mesures-vigipirate-a-la-mcjp）への持ち込みが禁止されていますのでご注意ください。展示ホールへのキャスター付きスーツケースの持ち込みは禁止されており、バックパックは必ず前に抱えてご入場ください。会館内に設置されているロッカーの収容数には限りがありますので、あらかじめご了承ください。

作品保護及び建物維持管理のため、展示室内でのベビーカー使用はご遠慮いただいております。抱っこひも等をご用意くださるようお願いいたします。

  入場料金  

料金7€ / 割引5€（予約推奨)

※　5€ 割引対象（証明書類をご提示ください)：65歳以上、学生又は18歳以上25歳以下、失業者、生活保護（minima sociaux）受給者、MCJP会員の同伴者1名、AMIC-J (在仏日本人会) 会員の方、小中学校教員（Pass Educationカード所有者）

※　無料対象（証明書類をご提示ください)：

2階展示ホールの受付に直接証明書類を見せてください（会館受付・オンライン予約不要)：障がい者と同伴者1名、プレスカード・ICOMカード・ICOMOSカード所有者、Expérience Visit Paris Regionカード所有者、Pass Cultureの予約証をお持ちの方、MCJP会員、MCJP発行の招待状をお持ちの方

会館受付またはオンラインで要予約：18歳未満、パリ日本文化会館・日本友の会会員企業社員、La Maison des Artistesカード所有者