ジャポニスムがフランスを中心に広がった19世紀半ば、同時期にフランスで「コロタイプ」という写真印画技法が発明されました。一度に多数のプリントが制作可能なことから、精緻な印刷技法として普及しましたが、現在ではその技法は知る人ぞ知るものとなりました。

世界でその姿を消した後も、便利堂は1世紀以上にわたり日本の文化財複製の分野を中心に、この技術を伝承してきました。そのため本展では、ジャポニスム2018開催に合わせ、「日本の伝統の美」と「現代芸術の表現」という2つのテーマをコロタイプ作品で展観し、今や希少となったこの技術をご紹介いたします。

ひとつは、パリ市立チェルヌスキ美術館で開催される「京都の宝―琳派300年の創造」展のサテライト展示として、尾形光琳「風神雷神図」・酒井抱一「夏秋草図」の両面屏風などの琳派作品を「複製」でご覧いただきます。もうひとつは、戦後日本における写真表現の転換期をテーマに、VIVOやPROVOKEといった日本を代表する写真家たちの作品を、「古くて新しい表現方法」としてアートの世界でも注目されている、コロタイプによるプリントで展示をいたします。期間中には、参加自由のコロタイプワークショップも開催予定です。ぜひこの技術を実際に見て、触れてみてください。

日仏友好160年を迎えた今年、フランスの地で生まれ、日本で今も生きるコロタイプ技術と日本の美を、みなさまの身近に感じていただければ幸いです。

ワークショップ日時:
ジャポニスム2018情報センター内(地上階)
2018年11月15日(木)~2018年11月17日(土)
12時~15時および16時~19時(15日は19時45分まで)
予約不要・無料