すしといえば、いまでは握りずしと相場が決まっています。しかし、じつはほかにも日本各地に多様なすしが存在しています。しかも、握りずしが発明されたのは、たかだかいまから200年ほど前のことで、生まれた場所も東京(当時の江戸)でした。これは1800年以上つづくすしの歴史では最近の出来事にすぎません。さらに、驚くべきことに、握りすしの起源は日本ではないのです。なぜ、日本で握りずしが主流になったのか。そこには日本人の飲食文化特有の創意と工夫があります。それをみなさんといっしょにさぐってみようと思います。
1955年、名古屋生まれ。早稲田大学文学部フランス文学専攻卒業。同、大学院博士課程フランス文学専攻修了。1985年から1988年まで、フランス政府給費留学生として、パリ第三大学に留学し、フランス近代文学のD.E.A.を取得。早稲田大学教育学部複合文化学科教授(Département des études interdisciplinaires des cultures)。留学を機に飲食文化の魅力にめざめ、同時にフランスの偉大な地理学者ロジェ・ディオンの著作にふれ(のちにディオンの大著Histoire de la vigne et du vin en France : des origines au XIXe siècleを同僚二人とともに三年をかけて邦訳)、フランス文学の研究から仏日を中心とした飲食文化の文化人類学的歴史社会学的研究に向かう。文学作品をはじめとした言説における飲食の表象の重要性から、みずからの研究を領域横断的文化学の一分野としての飲食表象論と規定している。2000年4月から2001年3月、エクス・アン・プロヴァンスで在外研究。2016年5月-6月、ソルボンヌ大学地理学科に招聘され、日仏の飲食に関する講義をおこなう。2023年より早稲田大学総合研究機構(Organisme de recherche multidisciplinaire)、食と農の研究所所長(Directeur de l’institut de recherche sur l’alimentation et l’agriculture)。
これまでの7冊の著作は、すべてワインをふくんだ日仏の飲食にかかわるもの。おもなものは『「飲食」というレッスン』『新・ワイン学入門』『ともに食べるということ 共食にみる日本人の完成』『自然派ワインを求て 日本ワインの文化学』『美味しく楽しんフランス文学』。日本語と英語・フランス語による飲食に関する論文多数。フランス語で読める論文として直近では、Nicolas Baumert、Vincent Moriniaux 編、Échanges gastronomiques franco-japonais, Presses universitaires Rhin & Danube, 2023 の二つ章(4章と8章)を執筆。