19世紀半ば以降、ヨーロッパから日本を訪れた数多くの研究者・旅行者がアイヌ民族の姿を撮影し、また当時日本国内で市販されていたアイヌ民族を被写体とした写真を購入して持ち帰った。19世紀末にはフランスのフランソワ=コンスタン・ジレルが北海道を訪れ、アイヌ民族の姿を捉えたものとして現在知られている最古の映像作品2本を撮影した。しかし、こうした写真や映像は多くの場合、具体的な撮影地や被写体となった人物について十分に明らかにされているとは言いがたい。大坂拓(北海道博物館アイヌ民族文化研究センター学芸主査)による今回の発表ではいくつかの資料を取り上げ、そこに写された個人を特定し、写真・映像が撮影された状況を詳しく明らかにする。







講師



大坂拓(北海道博物館アイヌ民族文化研究センター学芸主査)

1983年北海道生まれ。

明治大学大学院文学研究科博士後期課程退学。

国立アイヌ民族博物館展示検討委員会委員、国立民族学博物館学術資源研究開発センター特別客員教員、国立歴史民俗博物館総合展示第5室・第6室リニューアル委員会委員などを務める。

ノエミ・ゴッドフロワ

東洋言語文化大学(INALCO)准教授、フランス東亜研究院(IFRAE)および日本研究所 CRJ(社会科学高等研究院)の研究員。先住民族に関する国際研究グループ(GITPA)のアジア担当専門研究員でもあった。

アイヌ民族の歴史、近世から近代(17世紀~20世紀)における日本との関係に焦点をあて研究を行っている。

最近の主な出版物:"Japan and the Ainu in the Early Modern Period (Oxford Research Encyclopedia of Asian History)", "近現代日本におけるアイヌ―「旧土人」から「先住民族」へ (1869年〜2019年)(日本研究誌Ebisu)"