雅楽はアジア大陸から伝来した多様な楽器による合奏音楽である。

中国や日本の宇宙観、思想に深く根ざしながら、日本の宮廷儀式の中で長い年月をかけ、その音楽表現を洗練させてきた。

雅楽は近年、現代作曲家にも注目され、新作雅楽曲も多数出現している。現代の作曲家たちは、雅楽器の中にどんな宇宙を見、聴きとっているのか。

この講演では武満徹の雅楽作品をとりあげ、雅楽の宇宙と武満の宇宙がどのように交差、融合し、新しい音楽世界が立ち現れているのかを検証する。

【講師】 : 寺内直子(神戸大学教授国際文化学研究科教授)