フェスティバル・ドートンヌ

作・演出:岡田利規

出演:矢沢誠  足立智充  上村梓  鷲尾英彰  渕野修平  太田信吾  川﨑麻里子
制作:チェルフィッチュ
企画・制作:precog
主催:パリ日本文化会館  / フェスティバル・ドートンヌ

2007年に「三月の5日間」をパリ日本文化会館で上演した岡田利規。以来、深い観察眼と新たな手法を生み出すその才能が認められ、世界の第一線で活躍する劇作家・演出家となった。本作は世界5都市の劇場が共同制作の形で参加したものである。岡田利規はパリ公演を重ねていたものの、当館での公演は8年ぶりとなる。

コンビニエンス・ストアを舞台に密室劇のミクロな視点で展開する本作は、チープで軽薄なタッチをあえて維持する。しかし同時に、その外にある日本社会の種々の問題を提示するという広がりを見せる。そこで観客は、笑いながらぞっとするという感覚を味わうことになる。

場面が時間軸にそって展開するフィクションというシンプルな形をとりつつ、全編に流れるバッハの『平均律クラヴィーア曲集第一巻』に、これまでの作品以上にコンテンポラリーダンスに近い所作が対応する本作。自分がかつて確立したひとつの表現手段に安住しないアーティスト、岡田利規の今をご覧いただきたい。

チェルフィッチ
演劇作家・小説家の岡田利規が全作品の脚本と演出を務める演劇カンパニーとして1997年に設立。05年『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞。独特 な言葉の関係性を用いた手法により従来の演劇の概念を覆すと評価され、国内外で高い注目を集める。その国際的な活躍は、アジア、欧州、北米におよび、これ まで計50都市以上で上演。11年、モントリオールの演劇評論家協会批評家賞を受賞。13年、14年と2年連続で海外フェスティバルからの委託により作品 を制作。http://chelfitsch.net