「マジカル・ハウス」は東京を拠点に活躍するアトリエ・ワン(塚本由晴+貝島桃代+玉井洋一)とパリを拠点に活動するディディエ・フィウザ・フォスティノによる、パリ日本文化会館で開催する展覧会のためのプロジェクトです。彼らは住宅とは何か問い続け、時に住まいを考察するための装置とも言えるような挑戦的な作品を発表しています。パリ日本文化会館の新展覧会シリーズ「トランスフィア」第2弾では、私たちを魔法にかけるような空間を共に創造します。
アトリエ・ワンとディディエ・フィウザ・フォスティノは21世紀以降に活躍する同世代の建築家を代表する存在でもあり、パリ日本文化会館では建築の定義を塗り替える新たな光景を私たちに提示します。彼らの作品は社会と密接に関わりながら、現代の都市生活における従来の考えをくつがえします。
「マジカル・ハウス」では、アトリエ・ワンとフォスティノは両者ともにポルトガル産の木材を構造に用い、それぞれの家を設計します。二つの家は展覧会終了後、ポルトガルにふたたび運ばれ再利用される予定です。
別々の作品でありながら、同じ素材とテーマを扱うこの二つの「住居/装置」に、私たちは相補的な考察を見てとることができます。
今回のコラボレーションで、フォスティノはシェルター(避難所)のような小さな住居を設計しました。この作品は伝統的な特徴で建築をとらえがちな私たちの常識を根本から揺るがします。一方、アトリエ・ワンはより開かれた公的空間を提示しています。人々が交流し懇親を深める場所として、屋根型の構造を設計しました。
建築を見るだけではなく感じることができる空間には、光と影、そして音と沈黙が存在しています。この詩的な空間は谷崎潤一郎の代表作『陰翳礼讃』にインスピレーションを得たものです。また、ジークムント・フロイトによる「不気味なもの」の概念も彷彿とさせます。
展覧会「マジカル・ハウス」は芸術文化に属する問いを再考するだけでなく、現行の政治経済のあり方に関する思索へと私たちを誘います。会期中、アーティストトークや展覧会に関連するワークショップやイベントも開催します。ぜひご参加ください。
キュレーター:
ホウ・ハンル(ローマ国立21世紀美術館アーティスティック・ディレクター)
ガイド付きツアー
7月、ガイド付きツアーをフランス語で開催いたします。【無料・事前予約必要なし】
♦ 火曜> 7月5、12、19 、26 : 17時
♦ 木曜> 7月7、21、28 : 17時
♦ 土曜> 7月2、9、16、 23、 30 : 15時、17時
団体向けのガイド付きツアーも可能です。(アソシエーション、学校等)
その場合は要予約 : transphere2016@gmail.com