450年を超えて奏で続けられてきた一本の笛(1565年製作)の音色と、藤田六郎兵衛氏のお話をお楽しみください。

能管は、能の中で演奏される唯一の旋律楽器で、鼓や太鼓にはない独自の曲が多く伝えられてきました。この度、パリ日本文化会館は、能楽笛方藤田流十一世家元・藤田六郎兵衛氏を迎え、能管のコンサートを実施します。

四百数十年の間、藤田流家元の芸は一度も時間の空白なく代々伝えられてきました。4歳から笛の稽古を始めて60年近く。六郎兵衛の息が奏でる日本の音と、エスプリに満ちたお話をお楽しみください。

【演奏曲:】①「翁」より「鈴の段」、②「序の舞」を中心に演奏。

【講演内容:】400年続く伝統芸能の家に生まれ、音楽大学で西洋の声楽を学んだ藤田氏が日本の伝統音楽と西洋の音楽を比較しながら、継承されている演劇としては「世界最古」といわれる日本独自の舞台芸術「能」の音楽を語る。

芸能の起こりは「神への祈り」です。神話の時代より人々は「天下泰平」「五穀豊穣」「国土安穏」を歌い、舞い、囃し、神に祈念しました。能は、人々のその祈りを受け継ぎました。

「能にあって能にあらず」といわれる最古の能「翁」は、その代表とされます。
能管を通して藤田六郎兵衛氏の息が、豊穣を祈り、大地の恵みに感謝を捧げます。

また、能のレパートリーは約200曲ありますが、そのクライマックスの多くに「序之舞」が演奏されます。喜びの場面でも悲しみの場面でも、一切旋律は変えず、小節数さえも変えません。すなわち、この「序之舞」のメロディーは、すべてを表現できる「不偏」と「永遠」を有していると言えます。