1993年に設立された小西財団日仏翻訳文学賞は、今年カトリーヌ・アンスロー氏に本賞を、ミリアン・ダルトア=赤穂氏に奨励賞を授与することになりました。

記念すべき20回目の授賞式の機会に、この権威ある賞の歴史をたどりながら、この賞が文化交流における翻訳の重要性を伝える上で如何に貴重な役割を果たしてきたかを強調したいと思います。

授賞式後に開催する座談会には、かつての受賞者、コリーヌ・アトラン氏(2003年受賞)、ルネ・ガルド氏(2011年受賞)、パトリック・オノレ氏(2012年受賞)、およびエマニュエル・ロズラン氏(I­NAL­CO教授、­Bel­les Lettres 社『日本コレクション』ディレクター)が集い、討論を行います。

討論の目的は、この約20年の間、日本文学のフランス語翻訳を取り巻く状況の変化、また翻訳者の仕事そのものの変化を把握することです。特に翻訳者 の仕事は、長い間、知識のある愛好家だけが請け負う補助的な活動に過ぎないと思われていましたが、現在では1つの職業として立派に成立しています。しかし ながら、フランス語圏における日本文学への興味は増しているとはいえ、その大部分が村上春樹作品や漫画に対するものです。

そのような時代において、日本文学の翻訳は今後どのような道をたどるのでしょうか?
また、「新しい文学翻訳者」の姿を描き出すことは可能でしょうか?

翻訳者には今や、文学、漫画、技術翻訳等、翻訳活動の幅をますます広げることが求められています。その場合、翻訳者にとっては、翻訳作業の迅速化と 翻訳の質の維持とのバランスが最重要課題となります。このテーマに対する意識は未だ浅いと言えるでしょう。この座談会では、無理に結論を出すことはせず、 今後検討を続けていくための手がかりをいくつか提示してみることにします。

 

【18 :00-18 :30】  第20回小西財団日仏翻訳文学賞授賞式
 
【18 :30-19 :45】   座談会(フランス語)
 
司会 :ドミニック・パルメ、
パネラー :コリーヌ・アトラン、ルネ・ガルド、パトリック・オノレ、エマニュエル・ロズラン