制作:1976年(松竹)/103分/日本
監督:山田洋次
出演:渥美清 、倍賞千恵子、京マチ子(マドンナ)、檀ふみ(ゲスト)、浦辺粂子(ゲスト)
ロケ地:長野県 上田、長野県 別所温泉、新潟県 六日町


長野県上田市の別所温泉で、馴染みの坂東鶴八郎一座に大盤振る舞いをして、警察ホテルのご厄介となった寅さん。あきれ顔のさくらの迎えに、猛反省をしてまともな人間になろうと決意したのも束の間、帰宅してすぐに、美しい柳生綾(京マチ子)に逢ってからは、おなじみのパターンとなる。不幸な半生を送って来た綾は、不治の病で余命幾ばくもない。そんな綾を寅さんは懸命に励ます。周囲の心配をよそに、さくらだけは寅さんの味方をするが・・・

旅芝居「不如帰」の名台詞「人間は何故死ぬのでしょう?」に感じ入り、パトロンを気取る寅さんの前半の描写。満男の産休教師・柳生雅子(檀ふみ)の母・綾と寅さんが心を通わす日々の美しさ。人間にとって、生る希望とは何か? 寅さんとさくらの兄妹愛が、ヒロインのはかない人生に明るい灯をともす。日本映画を代表する名女優・京マチ子が、薄幸のマドンナ綾を好演。ラスト、柴又駅でのさくらと寅さんの会話が深い印象を残す。