「書」の概念を塗り替え、前衛画家にも通ずる挑発的な作品を生み出した書家、井上有一。そのアグレッシヴで、オリジナルな表現の世界を紹介。
古来の伝統的な書に留まらず、それを紙と墨からなる芸術作品へと昇華させ、戦後日本の伝統美術の前衛グループの中で、もっとも創造的活動を展開した一人とされる書家、井上有一(1916〜1985年)。その代表作を中心に紹介する個展。紙と墨による簡素な材料、技法によって生まれる豊かで多様なモノクロームの世界を紹介する。

初期の代表作《無我》、生き様と思想が表現された《貧》のほか、コンテや鉛筆、木炭を使って、語りながら書いた《宮沢賢治童話 よだかの星》など、さまざまなタイプの作品を展示します。日本の伝統文化である「書」を、世界の芸術の中でどのように位置づけていくかを追求し続けた井上有一芸術の核心に迫ります。