2021 年の東京五輪で団体金メダルを獲得し、今年のパリ五輪のメダル最有力候補としても期待が寄せられる現役のフランス人フェンシング選手エンゾ・ルフォールによる写真展。コロナ禍の只中に開催された東京大会での一風変わった日々を収めた写真集『Olympic Backstage』から選出された写真を展示します。フェンシングのユニフォームなどもあわせて展示。



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【エンゾルフォール |  特別インタビュー】 


写真に傾倒するきっかけはどのようなものでしたか?

妻に勧められて、2018年に初めてフィルムカメラを買ったのがはじまりでした。フィルムカメラでは限られた枚数しか撮れないので、その分構図や光を工夫したり、被写体の選択を意識するようになりました。また、フィルムでしか出せないアーティスティックな側面にも魅了されました。


あなたの写真に対するアプローチは、ドキュメンタリー的か、アーティスティックなものでしょうか。

文脈によって、この二つの間で揺れ動いているのだと思います。ただ、ひとつ確かなことは、形式と内容のどちらも重要であることです。私にとって、写真は何かを語っているときにこそより一層の美を獲得するように感じられます。


どのような撮影機材をご使用ですか。

状況に応じて使用する機材は異なりますが、お気に入りは中判カメラのマミヤ645。でも移動中や目立たないようにしたいときは、コンタックスT2やT3、コンタックスG2をよく使いますね。


東京オリンピックで、アスリートとフォトグラファーを同時にこなすことに戸惑いはなかったですか?

まったくそんなことはなかったです。むしろ写真のおかげで、ギリギリまで試合のプレッシャーを感じずに済んだので、よりよいパフォーマンスが発揮できたように思います。逆に練習に専念していたり競技会場にいるときは、写真のことを忘れてしまうので、ほとんど撮らなくなります。自然と競技だけに集中している状態です。


あなたは日本をテーマにした写真集を2冊出版しています。日本はエンゾーさんによって重要な国だといえますか。

もちろん、日本はとても好きです。2011年以来、幸運にも年に一度は日本に行くことができ、そのたびに強い刺激とインスピレーションを受けます。2021年の東京大会では、団体種目でオリンピックの金メダルを獲得したのですが、それだけでも、私の心の中で東京は永遠に特別な位置を占め続けると思います。


写真、書籍出版、ポッドキャスト、漫画執筆など多彩な活動をされていますが、ほかにも新しいプロジェクトを抱えていらっしゃいますか?

私はじっとしているのが苦手で、常に新しいプロジェクトに挑戦して、新しいことを発見したり学んだりするのが好きです。いまは新しくドキュメンタリー映画の企画を準備していて、オリンピック後に撮影を予定しています。人口40万人のグアドループという小さな島ではフェンシングが盛んなのですが、その特別な関係を読み解こうとするドキュメンタリーです。また、スポーツについての雑誌の企画にも取り組んでいます。


今年のパリ大会でも舞台裏を撮影される予定ですか?

何枚かは撮ると思いますが、どちらかというと記念写真的なものでしょうね。母国で迎えるオリンピックというこの上ない経験を記録として永遠に残すためにもね!