日本の官能的な絵画や版画を特集するフランスでは稀有な展覧会を開催します。
春画は長らく亜流なものとして軽んじられ、あるいは猥褻とみなされてきましたが、近年、日本や世界でその真価が再評価されています。パリ日本文化会館で開催されるこの展覧会は、「春画」に焦点を当て、歌麿や北斎をはじめとする数多くの傑作が一挙に見られる必見の展示となっています。
本展は、日本が異国との接触の機会をほとんど持たず、新たな都市文化が花開いた江戸時代(1603年~1868年)における春画の歴史を年代順に辿ります。
平安時代(794年~1185年)にすでに存在していた春画は、一点物の作品であり、当初は貴族層のみが楽しむものでした。しかし17世紀、木版印刷技術の発展が春画の転換点となり、性的な内容を含む版画や印刷物は、瞬く間に都市部の幅広い層に広く流通するようになりました。1765年頃に多色摺りの版画である「錦絵」が登場するとともに、春画の黄金期が幕を開けました。
春画の用途は多岐にわたり、新婚夫婦への性教育や、性的欲求を刺激すること――時には「あぶな絵」のように、露骨な描写を避け、ほのめかすだけでその目的を果たすこともありました――だけでなく、娯楽としての側面もありました。実際、春画にはユーモアがふんだんに盛り込まれており、「笑い絵」とも呼ばれていました。春画は、年齢や社会的階級、性別を問わず愛され、一人で、カップルで、友人同士でなど、さまざまな人々が楽しんでいました。
「浮世」を象徴する場所として、江戸の有名な吉原のような遊郭は、絵師たちに人気の画題でした。しかし18世紀に入ると、春画に登場する遊女は少なくなっていきます。主に夫婦や恋人たちの、パートナー間の性交の充足感を強調した場面が描かれるようになったのです。情事の様子が12の場面に渡り描かれることも珍しくなく、時には四季の移ろいを彷彿とさせるものもあり、描かれた植物にはしばしば官能的な意味合いが込められています。春画に新たな息吹を吹き込もうと、絵師たちは女性と外国人、妖怪や幽霊との情事などを題材に、遊び心たっぷりに想像を膨らませました。『源氏物語』などの文学作品を題材にした赤裸々なパロディも、しばしば登場するテーマです。
春画の変遷を辿るということは、1722年以降、春画を代表とする官能芸術を影に追いやった検閲の歴史を振り返ることでもあります。その厳しさの程度は時代によって異なりましたが、版元や芸術家たちは時に偽名を使用するなどして、この検閲を巧みに回避しました。逆説的ではありますが、発行禁止や奢侈禁止令は彼らの創造力を刺激し、その卓越した技量を存分に発揮させることとなり、春画の真の傑作を生み出すことにつながったのです。
作品保護のため、会期中に一部展示替えを行います。
前期:2026年11月12日~12月19日/後期:2027年1月5日~2月13日
キュレーター:樋口一貴(十文字学園女子大学教授)、ロッセッラ・メネガッツォ(ミラノ大学教授)
展覧会コーディネーター:クリスティーヌ・シベール
関連イベント
後日予約受付開始予定。
オープニング記念講演会
登壇者:樋口一貴(十文字学園女子大学教授)、ロッセッラ・メネガッツォ(ミラノ大学教授)
2026年11月10日(火)18時~(無料・予約制)
映画上映
日本映画におけるエロティシズム
2026年11月~12月
展覧会ガイドツアー(有料、予約制)
● 11月26日(木)17時30分~18時 30分
● 12月11日(金)15時~16時
● 1月21日(木)17時30分~18時30分
● 2月5日(金)15時~16時