当シンポジウムでは、著名な翻訳者、作家、出版関係者と共に、日仏翻訳の現状について検討します。小西財団日仏文学翻訳賞が第30回を迎えるこの記念すべき機会に、文学および漫画における翻訳の歴史、「翻訳者」の仕事が抱える課題、さらには翻訳を通じて結ばれた150年にわたる日仏間の文化交流について、議論を深めます。シンポジウムの締めくくりには、作家フィリップ・フォレスト氏による講演を予定しており、同氏の作品を翻訳した澤田直氏による朗読も行われます。
なお、2026年1月13日~2月21日には、パリ日本文化会館図書館にて、関連書籍及び資料の展示を実施します(図書館開館時間・入場無料)。
プログラム (登壇者は、変更になる可能性があります)
総合司会:コリーヌ・カンタン(翻訳家・フリー編集者)
■ 14時~14時10分 開会の挨拶
鈴木秀生(駐フランス日本国特命全権大使)
鈴木仁(パリ日本文化会館館長)
小西千寿(公益財団法人小西国際交流財団理事長)
■ 14時10分~14時40分 小西財団日仏翻訳文学賞30回の歩み ――日仏のまなざし
登壇者:坂井セシル(パリ・シテ大学名誉教授)、澤田直(立教大学名誉教授)
■ 14時40分~15時40分 漫画翻訳の現在
小西財団漫画翻訳賞紹介:フレデリック・トゥルモンド(株式会社トゥルモンド・プロダクション代表取締役社長)
司会:ジュリアン・ブヴァール(リヨン第3大学准教授)
登壇者:ヴラジミール・ラバエール(カステルマン出版社[作家コレクション]漫画編集者、翻訳家)、都・スロコンブ(翻訳家・通訳者)、第9回小西財団漫画翻訳賞グランプリ受賞者(予定)
15時40分~16時00分 休憩
■ 16時00分~16時45分 小西財団日仏翻訳文学賞――仕事としての「翻訳」の評価とその未来(近現代文学・古典文学・人文社会科学の分野から)
司会:アンヌ・バヤール=坂井(フランス国立東洋言語文化大学名誉教授)
登壇者:パトリック・オノレ(翻訳家)、ドミニク・パルメ(翻訳家)、ジェラルド・プルー(フランス国立東洋言語文化大学教授)
■ 16時45分~17時30分 日仏翻訳と出版の150年
司会:コリーヌ・カンタン(翻訳家・フリー編集者)
登壇者:コリーヌ・アトラン(作家・翻訳家)、エマニュエル・ロズラン(フランス国立東洋言語文化大学教授)、フィリップ・ピキエ(ピキエ出版社創立者)
■ 17時30分~18時 講演
フィリップ・フォレスト(作家・ナント大学教授)
日本語朗読:澤田直(翻訳家・立教大学名誉教授)
1959年フランス、シャンパーニュ生まれ。1984年より東京に在住。 トゥルーズ大学にて心理学および教育科学博士号取得。論文「人格化・文化そして身体」。
2003年より20年間、日仏出版交流を専門とする東京の文芸代理店、株式会社フランス著作権事務所の代表を務めた。
翻訳家として現代日本の小説、エッセイ、漫画など様々なジャンルの作品をフランス語に翻訳し、日仏間の文化イベントの企画にも協力している。
坂井セシル
パリ・シテ大学東アジア言語文化学部日本学科名誉教授。近代・現代日本文学、翻訳論。日仏会館・フランス国立日本研究所前所長(2016-2019)。小西財団日仏翻訳文学賞フランス側選考委員長。
主要著書:Histoire de la littérature populaire japonaise (1900-1980), Paris, L’Harmattan, 1987「日本の大衆文学」(フランスジャポノロジー叢書)、朝比奈弘治訳、平凡社、1997年(上記訳書)、および Kawabata le clair-obscur – Essai sur une écriture de l’ambiguïté, Paris, Puf, 2001、改訂版2014年(「川端文学における明暗-曖昧のエクリチュール」)。
その他、日本文学の仏語訳(川端康成、谷崎潤一郎、河野多恵子、円地文子など)多数。
1959年東京生まれ。パリ第1大学哲学科博士課程修了、(哲学博士)。立教大学名誉教授、公財)日仏会館副理事長、日本フランス語フランス文学会会長。主な著書に 『〈呼びかけ〉の経験 サルトルのモラル論』(人文書院)、『ジャン=リュック・ナンシー 分有のためのエチュード』(白水社)、 『フェルナンド・ペソア伝 異名者たちの迷路』(集英社)。訳書にサルトル『言葉』(人文書院)、フォレスト『さりながら』(白水社)など多数。
ジャン・ムーラン・リヨン第三大学准教授(日本研究)。トランステクスト/トランスカルチャー研究所(IETT, UR 4186)研究員。漫画の歴史、及び、日本のポップカルチャーについて研究している。
著書:BOUVARD Julien, PATIN Cléa (Dir.), Japon pluriel - Arts graphiques et culture visuelle au Japon, Vol.12, Actes du douzième colloque de la Société française des études japonaises, Arles, Éditions Picquier, 2019.
2003年より東京在住。コミック・漫画の編集プロや海外版権の代理店などで活躍する株式会社トゥルモンド・プロダクションの代表取締役社長。仏コミックの邦訳を専門にした出版社、EUROMANGA合同会社の代表社員。小西財団漫画翻訳賞コーディネーター。
ヴラジミール・ラバエール
リール政治学院を卒業後、パリ政治学院にて政治社会学の修士号を取得。INALCOにて日本語の学士号を取得。2006年より日本の漫画およびアニメーションの翻訳家として活動し、2013年からはカステルマン社にて漫画編集を担当している。
1984年パリ生まれ。INALCOで修士号を取得後、日本政府給費留学生として早稲田大学に留学。その後、主に漫画、文学、現代演劇、映画の分野で翻訳家・通訳者として活動。2017年、江戸川乱歩『孤島の鬼』(Wombat刊)の翻訳で小西財団日仏翻訳文学賞奨励賞を受賞。2020年、東村アキコ『東京タラレバ娘』(Lézard Noir刊)の翻訳で小西財団漫画翻訳賞を受賞。
INALCO名誉教授。専門は日本近代文学。谷崎潤一郎をはじめ、開高健や村上春樹などの現代作家、さらに近年は2011年3月11日以降の震災後文学を研究。また、大岡昇平、円地文子、大江健三郎、川端康成、堀江敏幸、石田衣良などの翻訳も手がける。2000年に小西財団日仏翻訳文学賞(坂井セシルとの共同受賞)、2009年に野間文芸翻訳賞を受賞。
翻訳家。1986年より近代及び現代日本文学作品の翻訳を多数手がける。小説(井上靖『蒼き狼』、三島由紀夫『音楽』『仮面の告白』、宇野千代『色ざんげ』)、エッセイ(大江健三郎『広島ノート』)、詩(大岡信『光のとりで』、谷川俊太郎『世間知ラズ』)など。また、能・狂言・文楽など伝統芸能の舞台作品の翻訳および字幕制作も行う。著書に、Chansons pour l’enfance : un poète japonais, KITAHARA Hakushû(POF、1982年)がある。中村真一郎『夏』の翻訳により、1995年に小西財団日仏翻訳文学賞、1996年にFIT-UNESCO翻訳文学賞を受賞。
1961年、フランス南部に生まれる。2003年より翻訳家として活動。2012年、第17回小西財団日仏翻訳文学賞受賞。翻訳は、La bossue de Ichikawa Saô, éditions Globe , 2025(市川沙央『ハンチバック』、文藝春秋、2024年)。
1973年生まれ。日本文学博士。INALCO教授(日本文学)。日本語・日本文化アグレジェ。近現代の大衆文学および日本語のアイヌ文学を研究。日本語・日本文化アグレジェ(教授資格保持者)。研究分野は、近現代の大衆文学および日本語のアイヌ文学。近年の主な出版物として、谷譲次の短編集の翻訳、Chroniques d’un trimardeur japonais en Amérique, Les Belles Lettres, 2019(第26回小西財団日仏翻訳文学賞奨励賞受賞、2021年)、著書 Tani Jôji, écrivain japonais, cosmopolite et vagabond(エルマン出版社、2026年上半期刊行予定)がある。
1956年アルジェリア生まれ。INALCOで日本語学士号を取得。翻訳家。井上靖、林芙美子、辻仁成(『白仏』Le bouddha blancで1999年フェミナ賞外国小説部門受賞)、村上春樹(『ねじまき鳥クロニクル』Chroniques de l’oiseau à ressortで2003年小西財団日仏翻訳文学賞受賞)、村上龍、浅田次郎、平野啓一郎など、多くの作家の翻訳を手がける。2003年には、Le monastère de l’aube(『暁の僧院』)でヴィラ九条山に選出(同作はAlbin Michelから2006年刊、Picquier Pocheから2012年刊)。著作としては、Un automne à Kyôto (Albin Michel, 2018)、Le pont flottant des rêves(La Contre Allée, prix Asie 2022、翻訳についてのエッセイ)、Haïkus de Kyôto (Arléa, 2025) など。
1960年、フランス・ブルゴーニュ地方生まれ。サン=クルー高等師範学校(ENS de Saint-Cloud)出身。現代文学アグレジェ。日本語・日本文学研究博士(INALCO)。HDR取得(INALCO)。現在、INALCO教授(日本語・日本文学)。
著書:Littérature et génie national. Naissance de l’histoire littéraire dans le Japon de la fin du XIXe siècle, Collection Japon, Les Belles Lettres, 2005, 347頁(2005年渋沢・クローデル賞受賞)
日本語訳:藤原克巳・鈴木鉄平訳『文学と国柄 一九世紀日本における文学史の誕生』岩波書店、2022年、510頁。
1950年生まれ。出版社勤務を経て、1986年にアルルでフィリップ・ピキエ出版社を設立。日本、中国、台湾、南北朝鮮、ベトナム、インド、パキスタンなど、アジアからの翻訳書の出版を専門とし、フランス語圏の読者がアジア諸国の文化を知るうえで重要な役割を果たしている。現在、同社のカタログには 2000 点以上の書籍が並ぶ。
1962年パリ生まれ。作家。ナント大学文学部教授。初の小説『永遠の子ども』(L'Enfant éternel、1997年)でフェミナ処女作賞を受賞。ルイ・アラゴンに関する著作はゴンクール伝記賞を受賞している。これまでに多数の小説や随筆を発表しており、記憶というテーマや現代の問題を扱ったエッセイ、日本文学に関心を寄せている。